―社会と出会う・社会を知る・社会を生きる
脇坂 圭悟・佐藤 学 著
四六判並製/192頁/ISBN978-4-910917-04-7/C3037 2023年5月30日刊行
定価2,090円[本体1,900円+税10%] 人言洞ウェブで購入
[著者]
脇坂 圭悟 神奈川県 小学校総括教諭
佐藤 学 東京大学名誉教授
国内外の教師と教育研究者が絶賛 ‼
脇坂さんの社会科の授業で子どもたちは、具体的な人との出会いによって現代のジレンマを認識し、多様な知識と経験を総合して「答えのない問題」の探究を協同で実現している。本書は、社会科の本質と未来の在り方を鮮明に描き出した好著である。 佐藤 学(東京大学名誉教授)
目 次
序 章 社会科における学びのイノベーション
―脇坂実践の意義―
第1章 地域教材の開発と学びのデザイン
「開発と環境保護~地域教材を通して」(5年生)
第2章 学びの深まりと広がりをデザインする
「ダムの学習~宮ケ瀬ダムを通して~」(4年生)
第3章 保護者を題材とした学びをデザインする
「工業生産を支える人々~自動車工業の学習を通して~」(5年生)
第4章 活動のある学びをデザインする
「ごみ問題を考えよう~コンビニのごみ箱を通して~」(4年生)
第5章 世界に目を向ける学びのデザイン
1「世界の中の日本~ルワンダ大虐殺から学ぶこととは~」(6年生)
―ルダシングワ真美さんの思いを通して考えよう―
2「世界の中の日本~紛争地に生きる子どもたち~」(6年生)
―シリア難民支援をする大野木さんの話を通して考えよう―
第6章 コロナ禍における学びのデザイン
「国土の自然とともに生きる~トトロの森を守る人々の思いを通してナショナルトラスト活動の意義を探ろう~」(5年生)
執筆者紹介
脇坂 圭悟(わきざか けいご)
神奈川県 小学校総括教諭。大阪教育大学を卒業後,民間企業,寒川町立寒川小学校(2006 -2012年)を経て,茅ケ崎市立浜之郷小学校(2012-2022年)に赴任(2017年より研究主任を務める)。2022年からは茅ケ崎市立浜須賀小学校に勤務(2023年より東京学芸大学教職大学院へ現職派遣)。北京師範大学に招待され社会科教育セミナーを開催(2019年),埼玉大学教育学部非常勤講師(2019年),第8回学びの共同体国際会議(世界31カ国・2100名参加)にて提案授業を実施(2021年)。個人研究テーマを「自信をもって自己の思いを表現できる子どもたちをめざして」と設定し,そのなかで「学び合う学び」「聴き合う関係づくり」「社会科におけるジャンプの学び」を追求している。
佐藤 学(さとう まなぶ)
東京大学名誉教授。北京師範大学客員教授,教育学博士。東京大学大学院教育学研究科元科長・学部長(2004-2006年)。エル・コレヒオ・デ・メヒコ招聘教授(2001年),ハーバード大学客員教授(2002年),ニューヨーク大学客員教授(2002年),ベルリン自由大学招聘教授(2006年)を歴任。全米教育アカデミー(NAE)会員。日本学術会議第一部(人文社会科学)元部長。日本教育学会元会長。アメリカ教育学会(AERA)名誉会員。アジア出版大賞(APA)大賞次賞(2012年)。明遠教育賞(2019年中国)。著書多数。主要な著書が,中国語(簡体字),中国語(繁体字),韓国語,英語,ドイツ語,フランス語,スペイン語,インドネシア語,ベトナム語,タイ語に翻訳されて出版されている。
読者の皆さまへ
本書は、神奈川県茅ケ崎市立浜之郷小学校における、資料と課題によりデザインされ子どもたちがイキイキと主体的に取り組む社会科授業の「学びのカリキュラム」を、具体的な活動場面や子どもたちの言葉をふんだんに取り上げた7つの実践事例から紹介しています。
公立小学校に勤務する脇坂教諭による、教科書では隠されていて見えない現代社会のジレンマに焦点を当てた課題に対して子どもたちが主体的に協同・探究して「社会と出会い・社会を知る・社会を生きる」ための学びをデザインした21世紀型の社会科教育の未来の在り方をさし示した実践です。佐藤教授が提唱・推進する「学びの共同体」の理念をもとに、「共有の学び」(教科書レベル)と「ジャンプの学び」(教科書以上のレベル)の課題、さらに「スピンオフの学び」(発展的なレベル)を子どもたちが主体的かつ協同的に学ぶために、教師がどのようにデザインしファシリテートすればよいのかを提示しています。