書籍案内

教師のひと言の重さ

―死刑囚の魂の回心
黒澤 英典 著        
四六判並製/144頁/ISBN978-4-910917-07-8/C3037  2023年10月20日刊行
定価1,650円[本体1,500円+税10%]             人言洞ウェブで購入

[著者]
黒澤 英典 武蔵大学名誉教授(教育学・教育史・教師教育)・武蔵大学白雉教育会名誉顧問

教師の使命は、一人ひとりの子どもの命によりそい
          子どもたちと共に平和な未来社会を創造する仕事です。

 本書は、第二次世界大戦後の日本における教育を筆者自らが学び・教え・育て・創ってきた体験と知見の根幹を集成した珠玉の書である。1996年から2012年の論考をもとに改稿し編み直された7つの章を今あらためて読むことで、今日の教育界が遭遇している子どもと教師にかかわる課題が、社会的背景こそ移ろってもその要諦と真因は通底していることをひも解いていく。時代は変わっても子どもと教師の関係性は不易なものであること、教師の仕事における使命と魅力は変わらないこと、を慈愛に満ちた誠実な言葉で語りかける。
 

目 次
第1章 教師のひと言の重さ ~死刑囚・島 秋人の魂の回心~
第2章 いま、なぜペスタロッチーか ~教育的格差・貧困・偏見に挑む~
第3章 車椅子のひとりの生徒が学校を変えた ~大野真吾君の生き方から学ぶもの~
第4章 転換期における青年の未来選択と教師教育 ~戦後50年の教師教育と全私教協15年の歩みを視座に据えて~
第5章 開放制教師教育制度の成果と課題 ~21世紀を拓き担う創造的教師を育むために~
第6章 若き教師へ ~未来を拓く希望としての教育を求めて~
第7章 閉塞的時代をリードした教育者 ~山本良吉の『若き教師へ』~

執筆者紹介
黒澤 英典(くろさわ ひでふみ)
1937年:埼玉県秩父郡小鹿野町(旧両神村)生まれ。
1945年:両神村国民学校2年で終戦を迎える。
1960年:埼玉大学教育学部卒業,埼玉県立浦和高等学校定時制蕨分校に勤務しながら,東京教育大学で教育哲学・教育史を学び,その後青山学院大学大学院入学・博士課程単位修得後退学,青山学院高等部教論を経て,1975年流通経済大学に着任。
1985~2008年:武蔵大学入文学部教授(学部長)。この間,放送大学埼玉学習センター・東洋大学・中央大学・聖心女子大学・拓殖大学・茨城大学・武蔵野女子大学・東京外国語大学・高千穂商科大学・青山学院大学,北京大学高等教育科学研究所客員研究員・北京大学大学院日本文化研究センター等で主として教育学・教育史などを教える。1991年には日本教師教育学会創設発起人の一人として参画,そのほか日中教育研究者交流会議委員・文部省教員資質向上協議会委員・東京都教員養成審議会委員・全国私立大学教職課程研究連絡協議会運営委員など,私立大学の教員養成に尽力する。
主な著作:『ペスタロッチーに還れ―教育的格差・貧困・偏見に挑む』学文社,2018年/『戦後教育の源流』学文社,1995年/『私立大学の教師教育の課題と展望―21世紀の教師教育の創造的発展をめざして』学文社,2006年/日本教師教育学会編〈日本教師教育学会創立10周年記念刊行【講座教師教育学】共編〉『第1巻 教師とは』『第2巻 教師をめざす』『第3巻 教師として生きる』学文社,2002年

読者の皆さまへ
 学校教師がブラック企業で働くビジネスマンに譬えられ教職志願者が減少する昨今の風潮を深く憂う筆者が、教師を目指す若き人たちに向けて上梓する魂の書です。
 戦後の教師教育の変遷と改革を目の当たりにしてきた筆者だからこそ、子どもたちの内面に秘められた無限の可能性を信じて真っすぐに向き合うことが、時代を超えた不易流行の「教師の使命」であると語りかけています。